コナン映画「理想の花嫁投票企画」の批判はなぜ起きた?その背景にあるもの…

人気マンガ「名探偵コナン」の映画企画で批判が殺到し、公式ツイッターアカウントが謝罪するという事態が起こりました。

批判があったのは名探偵コナンの映画最新作、劇場版「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」での投票企画。

その内容はムビチケ前売券の購入者を対象に、映画特設サイトで、「名探偵コナン」に登場する女性キャラクター38人の中で「理想の花嫁」を選んで投票するという企画。

1位に輝いたキャラクターは原作者の青山剛昌さん描き下ろしイラストとともに、特設サイト上で発表される予定でした。

一見、問題がなさそうな企画に思えたのですが、なぜ批判が起こったのか?

その背景にあったものは何なのか?

その内容にせまってみました。

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コナン映画「理想の花嫁投票企画」が時代遅れ?

今回の名探偵コナンの映画、劇場版「名探偵コナンハロウィンの花嫁」の理想の花嫁投票企画に対する批判の声が多数SNSで投稿されていました。

 

・女性キャラをずらっと並べ「理想の花嫁」を選ぼう!とぶち上げた昭和週刊誌感覚
・「理想の花嫁」って相手がいるキャラにとってはみんなそうなのでは?という疑問
・佐藤刑事がウエディングメインなのに、別キャラが投票1位になり描き下ろしは面目的にどうか?

引用元:Twitter

『理想の花嫁コンテスト』ってだけでもどこから目線よ??ってなるのに、小学生女子をエントリーさせてんの流石にキモいわ… ただの人気投票のほうがまだよかった😩

引用元:Twitter

工藤新一理想花嫁は毛利蘭で、高木渉理想花嫁は佐藤美和子で、花嫁っていうのはみんなにとってのナンバーワンじゃなくて誰かにとってのオンリーワンなので、はい解散

引用元:Twitter

いや、っていうかさぁ… こんな企画やって、今作花嫁である佐藤刑事に対して失礼だと思わないの?公式は… もし佐藤刑事が一位じゃなかったら「理想花嫁は佐藤刑事じゃなかったけど、今作花嫁佐藤刑事も応援してね☆」とか言うんですか? 佐藤刑事に無礼を働くとかまじでありえないでしょ…

引用元:Twitter

 

SNSでは「理想の花嫁」というコンセプトに対して問題視している人が多かったようですね。

映画サイドとすれば、今回の映画のタイトルから「花嫁」という言葉を使いたかったのでしょうが、これが逆効果となってしまいました。

このコンセプトをめぐり「時代遅れ」「ジェンダー観が古い」といった批判があったようです。

ジェンダーとは、性別的な性に対して、社会的・文化的につくられる性別、男性と女性の役割による性別のことを指します。(例えば、男とは・・・女とは・・・みたいな考え方です。)

「男女の差別をなくし誰もが平等に生きていける社会をつくっていこう」という現代のジェンダー観について敏感に反応した人たちがいたということですかね・・・。

「理想の花嫁」を選ぶという感覚が、男尊女卑に当たるのではないか、今の時代にあって考え方が古いのではないか?
ということでしょう。

しかし、この投票の権利は男性に限ったものでもありません。
女性にも投票の権利がある訳で、SNSのコメントには、このあたりについてジェンダー観を問題視するほどでもないというニュアンスの意見も多数あるのも事実です。

 

また、今回の理想の花嫁の投票企画の対象に小学生や高校生のキャラクターが入っていたことに対する批判も多かったようです。

児童をはじめ、未成年に対する性的な見方を助長する事になりかねないと危惧した人もいたのかも知れません。

単純に、そういった性的な見方をしていると嫌悪感を感じているというようなコメントもありました。

 

映画のタイトルからも想像できるように、今回は佐藤美和子(刑事)というキャラクターが結婚ということで花嫁衣装を着ています。
ですので、花嫁というテーマで他のキャラと投票を行うことにも疑問を投げかけているコメントもあります。

もし、佐藤美和子が1位にならなかった場合、この映画としての佐藤美和子の立場が傷つけられる事を懸念しているという事ですが、特に佐藤美和子のファンにとってはたまったものではないかも知れませんね。

いずれにしましても企画の主催者側は、これを重く受け止めたようです。

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名探偵コナン公式アカウントが謝罪

 

この批判を受けて、名探偵コナンの公式アカウントが謝罪のコメントを発表しました。

その内容が次の通り。

 

 

今回の理想の花嫁の投票企画は新たに見直すとのことです。

この一連の流れを受けて、SNSでは公式アカウントの対応についても疑問を投げかけているコメントが多く見られます。

 

批判声だけが悪いんじゃなくて、批判声にあっさり負けて謝罪して訂正するテレビ局やスポンサーも悪いと思うよ。 そりゃ十人十色いろんな声が出るんだから。 こんな声がありますが、盛り上がると思うのでやります。 くらいでいてくれないと。

引用元:Twitter

えっ、コナンのムビチケ使用の、理想の花嫁投票、企画見直しになったの、、、? 待って、意味分からんのだけど。女性キャラも好きなキャラ沢山いるから、誰に投票しよーかなーってワクワクしながら考えてたのに。そんな一部の声に対応しなくていいよ。

引用元:Twitter

今回の批判はおそらく少数派の意見ではないかと予想されます。

その中で謝罪し、企画を検討し直すという主催者側の判断は人気商売というところもありますから致し方ないというところなのでしょうか?

投票企画自体は映画を盛り上げる上でも有効な企画であったと思いますし、名探偵コナンのファンにとっては嬉しい企画で楽しみにしていたファンも多かったと思います。

一部の批判の意見をどこまで汲み取って行くのか・・・難しい時代になったものだとつくづく感じました。

 

批判の背景にミスコン問題視、ジェンダー平等の風潮

前述のように、今回の「理想の花嫁投票企画」においては、SNSで批判のコメントも寄せられました。

その背景には、近年のジェンダー平等、LGBTQなどの認知、性の多様化と言った世論の風潮があると思います。

ちなみにLGBTQとは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心の性と体の性が一致しない人)、クエスチョニング(自分の性が分からない人)など、セクシャルマイノリティ全般を表した言葉です。

以前に上智大学のミスコンテストにおいて、「ミス、ミスター」という区別をなくし、「ソフィアンズコンテスト」という性別を区別しないでコンテストを開催するということで話題となった事があります。

ソフィアンズコンテストでは、従来のミス、ミスターのコンテストにあるようなウエディングドレスやタキシードを着ての審査などではなく、自身の発信の場としてSDGs部門、自己PR部門の計2部門で最も多角的に活躍した人を選ぶというものです。

その時にコンテストの主催者が出した声明文がこちらです。

「現状のミス・ミスターコンが孕む外見主義的な判断基準という問題や『ミス=女性らしさ』『ミスター=男らしさ』という性の画一的な価値観の押し付けを助長するようなコンテスト名からしても、LGBTQや多様性という観点から批判を受けることは然るべきであり、致し方ないと言わざるを得ません。(略)このような状況を鑑みて、今年度からミス・ミスターコンを廃止する決断に至り、時代に沿った新たなコンテストを開催することになりました」(2020年4月1日 ソフィア祭実行委員会コンテスト局)。

引用元:PRESIDENT Online

ここでは特に・・・

  • 外見主義的な判断基準
  • 女らしさ、男らしさという性の画一的な価値観
  • LGBTQや多様性という観点

 

この3つがポイントに挙げられていました。

性別などの様々な違いにとらわれない「開かれたコンテスト」の開催を目指しているとのこと。

人を外見だけで判断する、性の画一的な価値観で評価するということは良くないといった考え方から、社会への問題提議も含めこのような新たなコンテストを設立するに至ったという事なのではないでしょうか?

上智大学に限らず、「もうミスコンは廃止した方がいい」と言った意見は社会的にも多くなって来ているようですね。

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名探偵コナンのファンは女性が7割

女性ファンを想像させるイメージ写真

「理想の花嫁投票企画」のSNSで批判の理由の一つとして、コナンのファン層も関係しているかもしれません。

2019年のORICON NEWSで興味深い記事を見つけました。

それは10~40代の男女1866名を対象に「名探偵コナン」をテーマにアンケート調査を実施したというもの。

まず、驚異的だったのがその認知度。
何と97%を記録していました。

さらに「とても好き/好き」の回答も55.1%と過半数を超えていました。
すごい数字ですね。

さらに注目したいのが男女比。

先程の「好き/とても好き」と回答した人の男女比が24.7%:75.3%で圧倒的に女性の割合が高いというデータが出ていました。

このデータから、名探偵コナンのファンの約7割が女性であるという事が分かります。

今回の「理想の花嫁投票企画」に対する批判は、ジェンダー平等という風潮に加え、女性ファンが多数を占める超人気マンガの名探偵コナンだからこその事と思います。

「投票で花嫁を選ぶ」という何となく女性の立場が低くみられているというイメージや、未成年の女性を花嫁の対象にしている事に対して嫌悪感を持ちやすい女性のファン層が多いことも、余計に批判のコメントが寄せられた要因のひとつとも言えると思います。

また、コナンファンはファン歴も長い人たちが多いようです。
先程の女性ファンの中でファン歴10年以上という割合も20代〜40代で7割を超えるとか…。

各キャラクターの固定ファンも多いと予想されますから、キャラクターに対する思い入れから、批判したい気持ちになっていた人もいたのかもしれませんね。

特に佐藤美和子のファンは、今回の映画の中で「花嫁の話題は佐藤美和子1人でいい」と思ったかもしれませんね。

 

最後に…

今回、名探偵コナンの映画、劇場版「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」の理想の花嫁投票企画に対する批判についてまとめてみました。

今回は企画の内容について…

  • 理想の花嫁を選ぶという時代遅れな考え方の企画
  • 花嫁の対象に未成年キャラクターがいること

といったところに批判が集まりました。

また、その背景には・・・

  • ジェンダー平等の世論の風潮
  • 女性が7割以上のコナンのファン層

    この2つがあっったとも考えられます。

    あとひとつ、この投票企画が予定通り開催されていたとして、今回、花嫁というテーマの中で作品中、重要な役割を担う佐藤美和子がもし、1位にならなかったら…映画自体のPRという意味ではどうだったのか?

    この意見には、「確かに…」と思うところもありました。

    私自身、今回の名探偵コナンの企画に対する批判を見て、

    「このくらいの内容の企画でも批判を受けるのか?」

    と現代における世論の変化に驚いているところもあります。

    正直、こういった批判が出なければ、私自身、何も問題点を感じていなかったのではないかと思います。

    それでは今の世論に対して鈍感すぎるということなのでしようか・・・?

    SNSという人前でなくても自分の意見を言える時代だからこそ、こういった批判も出やすくなっているのは確かでありますが、それにしても難しい時代になったなとも思いました。

    逆に個人の意見が反映されやすくなった時代になったのも事実です。

    どんなことでも賛否両論、様々な意見があるのは当たり前です。

    こういった様々な意見の中から、より良い道を導き出せる世の中になっていけば良いなと思いますね。

    今回、主催者側が企画を見直してどのような内容にするかに注目してみたいと思いますが、いずれにしましても、劇場版「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」を応援したいと思います。

    私も名探偵コナンは大好きなマンガですので・・・

    世代を超えて楽しめる作品だと思いますので、是非たくさんの人に映画館に足を運んで見て頂きたい映画ですね。

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