北京オリンピック、フリースタイルスキー男子モーグル代表の原大智選手。
前回の平昌オリンピックでは銅メダルを獲得し、世間の注目を浴びましたね。あれから4年後、原選手はまたモーグルの代表としてオリンピックの舞台に帰ってきました!
結果は準決勝で敗退でしたが、滑りはとても良かったと思います!もっと得点が伸びても良かったと思うのですが…
しかし、この4年間の内容が濃かった…
なんとモーグルのオリンピックメダリストが競輪を始めていたというではないか!
しかも、トレーニングの一環とかではなく、ガチで競輪選手を目指して養成所に入所!そして競輪選手としてデビューしている…
競輪選手に転向してのかと思ったら、モーグルでオリンピックも目指す二刀流!
そして、しっかりと北京オリンピックの代表権も勝ち取ったのだから素晴らしい!
それにしても原選手、また何で競輪選手に?
色々調べていくとその養成所生活がかなりヤバかった!
きっとこの養成所での経験があったからこその競輪デビュー、そしてモーグルのオリンピック代表権獲得に繋がったに違いない!
果たしてどんな養成所生活だったのでしょうか?
モーグルから競輪の世界へ!
オリンピックメダリストの原選手が競輪の世界へ踏み出したのは2019年の5月9日。日本競輪選手養成所の入所式な原選手の姿がありました。報道陣も多く詰めかけたようですね。
「やるからには、誰にも負けないようにベストを尽くしたい」と決意表明したとの事。
当時、原選手は自身のTwitterでもコメントしています。
競輪界でど素人の僕がどこまで通用するかは分かりません。しかし、一度きりの人生、チャンスは今しかないと思いチャレンジします。まずは、プロになることを目標に1日1日を全力で頑張るだけです。皆様、来年の3月までしばしお別れです。
— 原 大智 (@DaichAsce) April 8, 2019
しかし、いくらモーグルのメダリストと言えども競輪選手を目指す道のりは簡単ではなかったようです。
この競輪選手養成所は、入所したからと言って全員が卒業できるわけではないとの事。
自転車経験がなかった原選手は、身体能力はあるものの、自転車特有の瞬発力や持久力についてはまだまだでした。
「競輪というと、たかだか(距離は)1600メートル、2000メートルなんですけど、その中に凝縮されていますので、本当に日頃の練習で言うと、1日50キロから100キロくらい乗らないと体力がつきません」
引用元:THE ANSWER
最初の2ヶ月くらいは、養成所の滝沢正光所長自らが原選手を直接指導したとの事。質より量を重視するハードな練習。単純なトレーニングで最後まで続けられない人もいる中、原選手は最後までぶれずにやり切ったそうです!
さすがは原選手!精神力が素晴らしい!
滝沢所長はバレーボール選手から競輪の世界に入ってきたとの事。滝沢所長のように他の競技から競輪選手になるのは珍しくないそうですが、原選手のように、競輪に転向して他の競技と両立させる二刀流は異例のことらしい…
「最初の頃、雑談ですけど、原選手が『モーグルの方でも頑張りたい』と。二刀流ですね。それを目指していて、筋肉を付け過ぎると(モーグルのエアで)飛んだ時に重くなるからというような。『それがちょっと不安です』という話はしていましたね。競輪選手を目指す中で、いったんモーグルに戻るという意識があったと感じていました」
競輪選手と言えば、あの脅威的な太ももというイメージがあります!モーグルとの二刀流ともなれば筋肉の付け方も他の競輪選手とは同じようにとはいかないということなんですね。
二刀流で調整が難しい中、よく今回もオリンピック代表までこぎつけましたね。
本人も相当考えながらトレーニングを積み、努力られたのでしょう…。
原大智の競輪養成所生活がヤバい!
それでは実際の原選手の養成所での生活はどんな感じだったのか…?
これがヤバかった…
原選手が入所した「日本競輪選手養成所」は、競輪選手になるために必要な教育や訓練を受ける施設であり、選手候補生の1日の生活はかなりハードとの事!
毎日、朝6時半に起床。
午前中は主に学科講習があり、午後は競争訓練など実技訓練をこなす…。夜になると1時間程度の自由時間があり、22時には消灯。1日のスケジュールは本当に細かく決められていたようです。
それだけではない!
自由時間といえども、携帯電話で家族や友達に連絡したり、インターネットを楽しんだりすることはできない!
マジか…!
スマートフォンをはじめ、通信機器の使用は原則禁止!基本的には月曜から土曜までは養成所で携帯電話を預かっていて、決められた時間に決められた場所でしか使用出来ないみたい…
日本競輪選手養成所のホームページによると、日曜の外出時、帰省時、正門を越えた構外なら使用できるとの事。
ちょっと待って…
日曜の外出って…日曜以外は外出できないの?
これも日本競輪選手養成所のホームページで調べてみると、外出は日曜日のみ、しかも男子と女子を隔週に分けて8時半から17時半までの時間で許可しているとの事。
もう、これは実家にすら帰れない感じですね。
とある記事によれば、養成所では未だにテレホンカードが流行っているとか…
ホンマかいな?
時代は令和なのに、養成所の中は昭和ですか…という感じですね!
私だったら今どき電話無しの生活は考えられない!おそらく外部の新しい情報が出ても入ってこなかった事もあったはず。24時間、競技に集中しろという事ですね。
そう言えば、昔、ボートレーサーの養成所の特集を見たのを思い出しましたけど、ボートレーサーの候補生も相当厳しい生活をされていたなあ…。
プロの競技者になるというのは凄く厳しい道を通らないといけないという事か…
華々しい活躍の裏にはそれ相当の努力があるという事ですね!
原大智、退所寸前の大ピンチ!
原選手は競輪養成所で挫折も味わってます。
2019年9月の試験ではタイムを切ることが出来ず落第。不合格者はわずか3人だったとの事。しかも、その3週間後の再試験で合格しなければ必ず退所になるというではないか!
しかし、ここで原選手は驚異的な精神力で見事、再試験をクリアし、競輪選手へまた一歩近づくことになりました!
教官の大川氏によれば、「練習しながら不安はあったと思うが、口にはしなかった」とその精神力を称えています。
苦しい精神状態だったとは思うのですが、ここはオリンピックメダリスト!ここ一番の勝負強さはさすがです!
原選手は体も見違えるようになったそうです。
足でおもりを吊り上げるレッグプレスでは400kg、500kg持ち上げていました。モーグルの選手ではまずしないトレーニング。その効果もあって下半身はかなりがっちりして上下のバランスも入所した時よりも大きくなったとの事。
実際のところ、大川教官は下半身の筋力量が上がる事でモーグルのエアーのバランスに影響するのではないかと心配してたそうですが、原選手はのちのテレビのインタビューで、「モーグルだけより自転車やジムトレーニングをやったおかげで体幹の強化と細かい動きができるようになった」と答えていたそうです。
原選手はオリンピックメダリストにもかかわらず、天狗になる事もなく、自転車経験のある候補生にも積極的に質問したりしていたとの事。
そうして養成所での1年間の生活を経て、見事、原選手は養成所を卒業しました!
お久しぶりです。お待たせしました。
今のご時世大変ですが、報告として。
無事養成所を卒業して、プロ選手になれました。自分にとっては辛い一年でしたが良い人生経験しているなと思いました!
これからも後悔のないよう挑戦していきます! pic.twitter.com/ro6CAFkNuX— 原 大智 (@DaichAsce) April 7, 2020
原選手は競輪選手として2020年5月に新人戦デビュー。結果は3着でした。8月16日には競輪選手として初勝利を飾っています。
こちらは原選手のデビュー戦の時のTwitter投稿!
これから競輪選手として勝負していく決意を感じますね!
是非、頑張ってほしい!
一生に一度のデビュー戦!
勉強になることばかり…
脚も経験もまだまだ
ここからだぞ自分! pic.twitter.com/HEJTZyIvmc— 原 大智 (@DaichAsce) May 18, 2020
競輪の経験をモーグルに生かしてオリンピックへ!
こうして競輪選手とモーグルの二刀流の道を歩んできた原大智選手。本人曰く、競輪での経験がフィジカルやターンにも転換できているという…。
2021年12月にはモーグルのワールドカップで2位にもなりました!自己最高順位との事!
本人も「まさか信じられない!」とコメントしてました!
オリンピックでは惜しくも決勝進出を逃しましたが、競輪で培ったものは決して無駄ではなかった!
感動をありがとう!
原選手はモーグルはこれでひと区切りとの事。
これからは競輪選手としての活躍を応援したいと思います!
頑張れ!原選手!