痛ましい事件が起こってしまいました。
大学入学共通テストの会場になっている
東大で起きた無差別刺傷事件。
私はこの事件のニュースの第一報を聞いて
大変ショックを受けました…。
なんと反抗に及んだのは
まだ17歳の高校生の少年というではないか…
そしてその被害に遭われたのが
2人の高校生と70代の男性。
特に人生をかけた受験を目の前にして
被害に遭われた高校生の2人精神状態も
気になるところです。
また、70代の男性は
緊急手術を受けるなど重症との事。
幸いにも3人は命に別状はなかった
との事ですが、心と体に負った傷は
相当大きなものでしょう。
1日でも早い回復を
祈るばかりであります・・・。
何故、私がこの事件に
とてもショックを受けたのか…
それは私にも
犯行少年と同じ歳の息子がいるからです。
だから他人事には到底思えなかった…。
何故、このような事件が
起こってしまったのか?
また刺傷という犯行に及んでしまった少年が
抱えていた深い闇とは何だったのか?
気になるところであります…。
東大前刺傷事件の経緯
事件が起きたのは、
1月15日午前8時35分頃、
大学入学共通テストの会場となっていた
東京都文京区の東京大学弥生キャンパス
「農正門」の路上。
東京都豊島区の70代の男性と
共通テストの受験で訪れた
千葉県市川市の女子高生、
千葉県浦安市の男子高生
が順に刺され重軽傷を負いました。
いずれも命に別状はないとの事・・・。
3人を刺したのは
名古屋市に住む男子高校生の少年。
捜査関係者によると、
少年は3人を刺した後、
「来年、東大を受ける」
などと大声で叫び、その後、
包丁を投げ捨ててその場に
座り込んだといいます。
農正門の向かいにある
酒店の店主の目撃証言によると、
警察官から
「どこから来た!」
と大声で繰り返し問いかけられていたが、
終始無表情だったとの事です。
東大前刺傷 逮捕の少年、のこぎりやナイフも所持 https://t.co/u1kisLc26w
少年は警察官に確保された際に、犯行に使用した包丁(刃渡り12センチ)を投げ捨てた。さらに、胸のポケットなどにナイフ(刃渡り約6・2センチ)や折り畳み式ののこぎり(刃渡り約21センチ)も持っていたという。
— 産経ニュース (@Sankei_news) January 15, 2022
実はこの殺傷事件の直前に、現場近くの
東京メトロ駅南北線東大前駅で不審火が
起きてます。
不審火は少なくとも8カ所で上がっていました。
着火剤のような燃えた形跡があり、
防犯カメラに火の着いた
着火剤のような物を持つ少年の姿が
記録されていたとの事。
当初、少年は車両や駅で火を付けた着火剤を
複数回投げたが火の手が上がらず、
計画通りに進まなかったことから
駅構内を出て最初に目についた3人を
刃物で襲った模様・・・。
東大前刺傷事件 逮捕の少年が9回も放火を試みるも失敗 大量殺人計画か https://t.co/nELQrcX9NQ
駅を出て最初に目にした男性を刺したことも判明。3本の刃物や大量の可燃性液体を持っており、警視庁少年事件課は、複数の犯行形態を想定するなど大量殺害を入念に計画したとみている。
— 産経ニュース (@Sankei_news) January 16, 2022
なんでそんな事を・・・
犯行に及ぶ前に
立ち止まれなかったのか!
こんな事しても誰にとっても良いことは
ないのは分かっているはずです。
それでも自分を止めれなかった・・・
少年はどんな闇を抱えていたのだろうか?
そして誰も彼の異変に
気づけなかったのだろうか?
とにかく残念でなりません。
卒業文集に「勉強」をテーマに選んだ少年の中学時代・・・
少年が中学の卒業文集で
「勉強」をテーマに
このように書いています。
まず順位というものが自分に大きな影響を与えました。特に二年生の時、大暴落を受け心が折れかけたことがあります。しかし、逆にそれがきっかけになり、後の学習態度や方法が一掃され、上位に追いつめることができました
出典:日刊ゲンダイ
中学生といえば、
部活動やクラスメイトとの思い出、
修学旅行、将来の夢・目標など、
いろんな事があります。
その中で少年が
卒業文集に選んだテーマが「勉強」。
少年にとって学校での成績というのは、
とても大きな価値となっていたのか・・・?
一時は成績が下がったものの、
おそらく相当な努力をし、
上位の成績を残すことで
自分の存在価値を
認めていたのではないか?
他者との比較を常に勉強の重要な事と
位置づけていたのでしょう。
「順位というものが自分に
大きな影響を与えました」
という文集の一言からもその思考が伺えます。
「順位」が自分に大きな影響を与えた・・・
これは思い返せば私にも当てはまる・・・
私も中学時代なんかは少しでも
偏差値の高い高校に行くために
順位を常に気にしていました。
一度極端に成績が落ちたときは
親にもかなり説教されたのを
今でも覚えています。
しかし、
一度極端に成績が落ちたことをきっかけに
それまで以上に勉強するようになった・・・
そして成績も上位に上がっていった・・・
何となく少年と私の中学時代が
似ていると感じました。
しかし、少年はこの2年後に
過ちを起こしてしまう・・・
この卒業文集を見る限り、中学までは
自分の努力次第で成績も上がり、
まだこの先の将来に
希望を持っていたと思います。
この先、何があったのだろうか?
東大を目指した少年の超エリート高校での苦悩・・・
報道によると少年は、
刃物は少年が自分で準備して、
14日夜にバスで名古屋から上京したとの事。
本人が「昨年から犯行を考えていた」
と供述しており、計画的に犯行が
行われたと推測されます。
14日の夜には、少年の父親が愛知県警に
行方不明者届を出していました。
その際、「息子は成績不振で悩んでいた」
と話していたことも、
捜査関係者への取材で新たに判明しています。
成績不振で悩んでいたとされる少年の高校は、
愛知県でも名門私立高校である
「東海高等学校」と報じられています。
2022年の高校情報によれば
東海高等学校の偏差値は73。
2021年の進学実績では卒業生428名中、
30名が東京大学進学。
31名が京都大学に進学しています。
そのほかの生徒も難関大学に
合格している超名門校であります。
特に医学部への進学実績が
群を抜いていて、14年連続全国トップ
の高校らしい。
ただ勉強ばかり、というよりも
自主性や個性を重んじる校風
でもあると聞きます。
高校2年生時点の成績で
高3のクラスが決まるとの事で、
クラス分けが発表されるのは4月。
ちょうどいまくらいの時期に
成績について思い悩む生徒もいるとか・・・。
それから少年は実力考査の
2週間前に無断欠席しています。
この実力考査の結果で
3年次のクラス分けがされるとの事。
東海は学力別にA群、B群と分かれ、
A~C組が理系A群、D組が文系A群、
E組以降が理系B群と文系B群
になるという…。
学校側によると、少年は東京大学の
最難関である理科3類を目指していた
との事。
しかし、成績は上がらず、
悩む少年を担任は激励していました。
生徒は昨年9月、成績の悩みを担任に相談していた。大学受験の最難関とされる東大理科3類を目指していたが、成績が思うように上がらず、校内では中下位にとどまっていたという。少年は「このままだとかなり厳しい」と話し、担任は「頑張れ」などと声を掛けたという。
出典:時事通信社
また、このような報道もありました。
同級生の話によると・・・
「そもそもAが東大理三を目指し始めたのは、高校受験で開成高、西大和学園高、ラ・サール高を受けたんですけど、全部落ちて東海しか受からなかったのが大きかったようです。入学した時から、『大学では絶対1番を目指す。日本一のところに行くんだ』と言ってました」
出典:文春オンライン
少年は高校受験でも大きな挫折を
経験していました。
その事で大学受験で巻き返すという
強い思いが芽生えたということか・・・?
少年は1年生の時の最初の実力テストで
54位、2回目は15位くらいだったとの事。
東大の他の学部や国立大の医学部に
合格は可能な成績のようだったが、
理科3類は難しいようです。
学校でトップ5に入っていても、
理科3類に行けるのは1人か2人。
そこで少年は、猛勉強をして
東大理科3類への推薦合格を
目指し始めたといいます。
推薦をもらうためにクラスの掃除係を
自ら手を挙げるなどして
先生からの評価を高める努力も
していました。
また、少年は入学早々に
生徒会長選挙に立候補していました。
結果は落選したものの、
生徒会メンバーとして残り、
校内新聞の編集作業をしたり、
修学旅行の委員をやったりと
学校行事には活動的に参加する
生徒だったとの事。
これも推薦を勝ち取るために
努力していたことなのか・・・?
少年の理科3類への執着は凄まじく、
1日の予定を書いたメモには
家に帰ってから寝るまで、
ぎっしりと科目ごとに勉強内容が
書かれていたという・・・。
東海高校入学後、少年は
「すべては理科三類のため連盟よ、去らば」
というメッセージを残して、
中学の友人とのLINEグループを
突然退会までしていました。
そこまで努力しているにも関わらず、
高2になって成績が下降しはじめました。
順位が130位くらいに落ちてしまい、
さらに昨年11月の実力テストで、
1年の時に同じクラスだった
高校入学組の生徒が
学年1位になったとの事。
それが少年を刺激してしまった
のかもしれないと同級生は語っています。
少年は中学から東海に通う「内来」
ではなく、高校入学組の「外来」でした。
高校入学組の「外来」が
「内来」に追いつくには
相当な努力がいるという・・・。
ただでさえ自分の成績が
落ち込みプレッシャーが
強くなっていた事だろう・・・
そのタイミングで
同じ高校入学組の生徒が
学年1位になった事は
少年の心を深い闇に落としてしまった
きっかけのひとつだったのかもしれません。
少年は、高校受験の段階で
大きな挫折を味わい、
その事が東大の医学部に
進める理科三類への
熱望をさらに大きくさせたのではないか?
そして何とか
エリート高校に入学はできたものの、
成績の落ち込み・・・
同じ高校入学組の生徒の成績の躍進・・・
高3のクラス分けを前にして、
自分の成績不振から希望のクラスへ
入れないという現実に耐えられなかった
という事なのだろうか…?
少年の家族はごく普通の家庭・・・
巷では「少年の親は医者ではないか?」
などの噂話も飛び交っていましたが、
少年は両親と中3の弟、
小4と小1の妹の6人暮らし。
であることが報道されていました。
一家は昨年の3月に3階建ての
新築戸建て住宅を購入し、
手狭だった隣町のマンションから
引っ越してきたと紹介されています。
近隣住民は少年の家族について
こう語っております。
「お母さんとお嬢さんが、一緒に犬の散歩をされてるのを、よく見掛けます。ご両親とも気さくで明るく、常識があって、きちんとした方ですよ。引っ越しされてまだ間がないので、あまり詳しいことは知りませんが、ごく普通のご家庭だと思います」
出典:日刊ゲンダイ
少年は家庭の事情で
医師を目指さないといけない
という環境ではありませんでした。
ごく普通の家庭で育っています。
「お父さんは私立大学で事務職員として働き、お母さんもパート勤務をしていたようです。進学校になると高2までに高校の勉強をすべて終え、残り1年間は受験対策に取り組むなど、ペースが速い。息子さんは高校から入学したため、内部進学した同級生に追いつけるか、お父さんも心配していたようです。進学校にありがちですが、中学でいくら成績が良くても優秀な生徒ばかりが集まっているので順位が下がり、こんなはずじゃなかったと打ちのめされる生徒は多い。息子さんも校内の成績は中下位で、『このままだとかなり厳しい』と漏らしていたそうです。お父さんも、息子さんが成績で悩んでいることを知っていました」
出典:日刊ゲンダイ
ごく普通の家庭で起きた今回の事件。
だからこそ同じく普通の家庭で
受験生の子供を抱える私にとっては
考えさせられる部分も多い・・・。
少年が抱えていた深い闇とは何だったのか・・・
犯行に及んだ少年は逮捕後、
警察に対して、事件を起こした理由を
次のように述べています。
「3人を切った。面識はない。医者になるため東大を目指して勉強していたが、成績が1年前から振るわなくなり、自信をなくした。医者になれないのなら人を殺して罪悪感を背負って切腹しようと考えた」
出典:FRIDAY DEGITAL
成績が振るわなくなったことで
自信をなくしてしまった・・・。
それによる自信の喪失から将来が
見れなくなってしまったんでしょう・・・。
本当は学校の成績だけで
将来が決まるわけではないのに・・・
医者を目指すにはそれなりの学歴が
必要なのだろうが、東大でなくても
医者になれる選択肢はあったはず・・・
しかし少年には東大という選択肢しか
見えていませんでした。
昨年に男子生徒の父親がある冊子に
寄稿した家族について綴った文章
があります。
父親はそこでコロナ禍を、息子にとって
「中学校上がりの猛者に追いつく好機」
とも表現していました。
東海高校では高校入学組が
中学校から在籍する生徒の成績に
追いつくのに大変な事。
少年に対し、学校の先生も親も
「頑張れ」と応援します。
エリート校ですから尚更でしょう・・・。
父親のこの文章も
応援のメッセージでしょう。
しかし、
最初は励みだったかもしれない
その応援も、彼にとっては
大きなプレッシャー
に変わっていったのかもしれません。
親の応援にも応えられない
自分に気付き始めた…。
そして結果として
自信喪失になってしまった・・・
それも一因にあるのかもしれません。
特に自信を失ったりパニックになると
視野が狭くなると聞きます。
私もどちらかといえば
そういうタイプの人間です。
あとで冷静になれば
もっと違う考え方や選択肢が
あることに気づくことも多い・・・
でも自信喪失やパニックのときには
なぜかそれに気づかない・・・
というよりは自ら見ようと
していないように思います。
私の経験からすれば、
悲劇のヒーロー・ヒロイン的なものを
自分の中に作ってしまっている
とでもいうのでしょうか・・・?
誰も自分の苦しみは分かってくれない・・・・
これ以上自分には無理だ・・・
今の環境から逃れたい・・・
さすがに人を傷つけようとまでは
思いませんでしたが、逆に自分を傷つけて
人の気を惹こうと思ったことはありました。
しかし、そんな事をしても意味がない・・・
私もこの歳になって
ようやくこういうことに気づきました。
彼に言いたい・・・
人を傷つけたり自分を傷つけてまで
やることは自分から逃げているのではないか?
環境や他人からは逃げてもいい・・・
むしろ、思いつめて鬱になるよりは
逃げたほうがいいと思っています。
しかし自分と向き合うところからは
逃げてはいけない・・・
大きな挫折を味わっても、
その時に自分がどう対応するのか・・・
自分にとって今後どう生きて
いくのが良いのか・・・
とことん自分を見つめて
考え抜くことが大切だと私は思います。
犯行少年のやった事は決して
許されることではありません。
犯してしまった過ちは
取り戻すこともできません。
しかし、
彼にもこれからの将来があります。
自分に向き合い、
これからどう罪を償い生きていくのか・・・
しっかりと考えてほしいと思います。
今回、こうして痛ましい事件が
起こってしまいました。
最初は親、学校の先生も含めて
「成績」というものに囚われすぎて、
行き過ぎた指導などがあったのかと
思っていました。
いわゆる教育虐待というものです。
しかし、報道によると両親は
子供の進学先に執着はしていなかった
といいます。
それでも少年は成績、東大、医者に
執着していました。
一体何が彼をそこまで執着させて
しまったのだろうか?
彼がどんどん深い闇に落ちていって
しまった理由の全貌はまだ分かりません。
学校も親もその深い闇から
彼を救えなかった…
その結果、この事件が起きてしまった…
とても辛いですね。
私も来年大学受験の息子を抱える親の一人。
人生の大きな試練に向かう
息子への接し方、応援の仕方・・・
改めて考えさせられる事件でありました。
また何よりも被害に遭われた2人の高校生、
そして70代の男性の心身ともに
1日でも早い回復を願っております。
二度とこのような事件が
起こらないことを望みます。